チームSEI☆ZAが3勝2敗で禅道会に勝利! ユリアは藪下に腕ひしぎで一本勝ち!

2017.05.13

アイドルユニット「Kiss Bee」のメンバーによるオープニングの巧みなダンスパフォーマンスに続き、選手入場式。1月19日の旗揚げ戦に続く、育成型武道エンターテイメントの始まりだ。女子プロレスラーの高橋奈七永とSareeeの実演によるルール説明もおこなわれた。


SEI☆ZA独自のルールは、以下の通り。

カラテポイント=打撃でダウンを奪うと1ポイント
ジュードーポイント=相手を背中からキレイに投げると1ポイント
ジュウジュツポイント=関節技で相手からエスケープを奪うと1ポイント。技から逃げる相手が手首か足首かを俵の外に出した場合、エスケープが成立
フォールポイント=相手の両肩を3秒間つけると1ポイント。主審がカウントを数える
スモーポイント=相手の道着か帯をスタンドの状態でホールドした状態から、闘技場の俵から相手の身体の一部を出すと1ポイント。突き押し、前蹴りなどで外に出してもダメ
アイキポイント=打撃だけではなく投げ技、スタミナ切れ、何らかのダメージでダウンとみなされた場合1ポイント

またラウンドが変わるとポイントはリセットされる。

当初はチームSEI☆ZAとフランス美武道戦隊との5対5対抗戦が予定されていたが、長野県で総合武道を標榜する空手道・禅道会から、対戦要望書という名の「挑戦状」が届き、3対3の勝ち抜き戦で雌雄を決することに。

メインはスーパーファイトとして、SEI☆ZAメンバーの最高実力者ユリア・ストリアレンコと、日本の女子総合のレジェンド藪下めぐみが、親子ほどの年齢差を超えて闘うことになった。

勝ち抜き戦 第1試合 ラジーナ・ビスタ vs伊藤良恵



前回大会ではスモーポイントで敗れたラジーナ・18歳と、伊藤良恵・17歳の10代対決。どちらも試合経験はまだ、1試合しかない。特にラジーナは、ラダと共に伝統派空手の出身なので、フルコンタクトルールにどこまで対応できるか未知数だったが、前回大会を見る限り、対応できていたとは言い難い状況だった。かたや伊藤は、禅道会で練習はしているはずだが、試合でそれを出し切れるかどうかは、試合を見てみないとわからなかった。

結果は、ラジーナがパンチで積極的な打撃を展開。手数が多く、ストレートを顔面にヒットさせ、開始15秒で伊藤はカラテポイントのスタンディングダウンを取られた。


カウント7まで入ったあと再開するが、果敢に攻めるラジーナの勢いは止まらない。ストレートの連打を受けた伊藤を見かねて、主審の島田は試合をストップ。伊藤からはわずかだが鼻血が…。1ラウンドの秒殺勝利で、ラジーナはプロ初勝利を飾った。

伊藤は試合後、明るく笑って「思った以上に相手が強くて、びっくりしました。早かったし。でも楽しかったです。リベンジ? いや、もう大丈夫です(笑)。いやー、もう勝てないなと思って。(やるなら)ちゃんと練習してから」と答えていた。

もういいやと思って別の道に進むのか、もっと頑張ろうと思うかは自分次第だけど、伊藤の試合を見ていたら “父親が娘の武道の試合を客席から見てハラハラするのって、こんな気分なのかなあ”という気持ちが沸いてきて、なんだか切なかった。

もう一度、強くなって、このSEI☆ZAの舞台に帰って来てくれたら嬉しいけれど、それだけが乙女の道じゃないもんね。素敵な人生を歩んでね。

勝ち抜き戦 第2試合 ラジーナ・ビスタ vs 角田光優



8歳の時から空手を始めたという19歳の角田は、あおりVTRを会場で見る限り、その道ではかなり強そう。経歴を見ても優勝経験を含め、上位入賞が目につく。「会場でブーイングされたら、どうしよう…」というような感じで“ガラスのハート”と称されていたが、試合が始まったらやってくれそうな気配は伝わってきた。

1ラウンド、角田の右ストレート、ラジーナの右ストレートが入り、ラジーナがグラウンドに引き込む形から、下から腕十字を狙うも、フォールカウントが入ったりして30秒ブレイク。スタンドに戻ると闘技場の中央に近い位置に立ち、押し気味にペースを握るのは角田の方で、パンチで倒すとスリーカウントフォールが成立。フォールポイントを角田が取ったところで1ラウンドは終了した。


2ラウンドでは、角田が伸びのある蹴りを出してくる。30秒経過のあとには角田のローが、パシッと音をたててヒット。散発的にパンチの打ち合いがあるが、どちらも決め手にはならない。角田の伸びる前蹴りがヒット。続けて放った右ミドルキックは、手でキャッチしたラジーナが即座に右ストレートで応戦した。


2分20秒を経過したあたりから角田のパンチが明らかに効き始め、それを見て客席もザワつき出す。試合が盛り上がってきたムードが、会場を包みだした。残り18秒のところで角田の右ハイキックがヒットし、ダメージを感じさせたラジーナが、空手ポイントによるスタンディングダウンを取られた。

3ラウンドに入ると角田が相手の道着を掴んで、ヒザ蹴りを打ち出す。グラウンドになるとラジーナが腕十字を狙ったが、腕のロックははずれて30秒ブレイク。2分台になると再び角田は相手の道着を掴んでヒザ蹴りの連打。そのまま俵の外に押し出す形になり、角田は相撲ポイントを取った。

SEI☆ZAルールでは主審・副審により採点判定はないが、ポイント差が3-0とついたので、角田の勝利となった。

ラジーナは「KOしたかったので、1試合目は良かった。でも2試合目は疲れてて、スタミナが切れてダメでした。前回大会では心の準備ができていなかった感じで、なにもできずに終わったから、今回は打撃に集中して、それ以外はやらないくらいの気持ちでした。それが徹底できたので良かった」とコメント。寝技で果敢に腕十字を狙うシーンもあり、着実に成長を見せたラジーナだった。


勝ち抜き戦 第3試合 ラダ・マナンダー vs 角田光優


19歳のラダは、前回大会で闘志は見せたが、腕十字で敗れている。

1ラウンド。30秒を経過したところで、角田は組み合いの末、ラダを投げ、相撲ポイントを取った。そのあとラダは低いタックルからグラウンドに持ち込んだが、これは場外ブレイク。続いてラダが片足タックルからグラウンドを狙ったが、これも場外ブレイクとなった。


残り1分となり、ラダは左パンチ、続いて右のロングフックを見せたが、角田は道着を掴んで、右・左・右のヒザ蹴り連打。そのまま押し出し相撲ポイントを獲得。再び組んで押し出し、相撲ポイントを続けて取った。これでラウンド内の3ポイント獲得が成立。角田の合わせ一本勝ちとなった。


ラダは「角田選手は体が重くて、なかなかコントロールできず、グラウンドに持ち込みたかったけど、できないまま場外に出されてしまいました。前回は柔術とか寝技の動きができなかったけど、今回は自分から仕掛けることもできたので、成長できていた。でも相撲ポイントで負けたのは残念」と、悔しさをにじませた。

勝ち抜き戦 第4試合 タバタ・ヒッチ vs 角田光優


3試合目となる角田。対する22歳のタバタは、柔道家の父を持ち、柔術や総合格闘技の経験を持つ実力者だ。


1ラウンド。タバタの右ストレートが角田のガードの間を抜けて、顔面にヒット。道着を掴んで角田を背中から投げ落とした。副審の白旗は4本上がったが、主審の平は高々と投げが上がっていなかったと判断し、柔道ポイントを取らず。これは現行ルールではポイントになってもおかしくない投げだった。

タバタはグラウンドでバックマウントを取ると、そこから鮮やかな柔術ムーブで腕十字に取り、一本勝ち。柔術家としては当たり前の動きだが、寝技で決めて勝つことの美しさが、そこからは感じられる。


角田は「(いろいろ)総合格闘技の大会、出たいです。(タバタ選手には)リベンジしたいです」と話していたが、SEI☆ZAでも続けて見てみたい、イキのいい選手だった。


勝ち抜き戦 第5試合 タバタ・ヒッチ vs 西脇由菜


29歳の西脇は空手歴9年。昨年までフィリピンの禅道会支部に武者修行に行っており、通算で5、6年、フィリピンには滞在したという。柔術のフィリピン大会、極真空手のフィリピン大会での優勝のほか、優勝は多数。昨年の試合では全勝できたそうだ。


大将同士までもつれこんだ勝ち抜き戦の最終戦。1ラウンドは道着を掴み合ってのヒザ蹴りの打ち合いからスタート。30秒を経過したところでタバタがキレイに投げてみせ、柔道ポイントを獲得した。そこからマウントを取り、腕十字を狙ったが寝技30秒ブレイク。2分台のグラウンドでは西脇が上になるが、下からタバタが腕十字を狙ったところで30秒ブレイク。

2分台ではまず西脇に相撲ポイント。続けてタバタが相撲ポイントを取る。最後は寝技でタバタが縦四方固めの形になったところで、このラウンドが終了。


2ラウンドに入ると、力で負け出した西脇が、道着を掴まれた状態で俵の外に押し出され、次は投げられて、相撲ポイントをたて続けに失う。グラウンドでは縦四方固めで押さえられ、フォールカウントがワンまで入ったが、寝技30秒ブレイクで窮地を脱した。でもスタミナのロスは明らかで、再びタバタに道着を掴まれると押し出されてしまう。これで3ポイント獲得したタバタが、合わせ一本勝ち。対抗戦はSEI☆ZA軍の勝利となった。

西脇は「組んで投げて寝技で行こうと思ったけど、タバタさんの力がメチャクチャ強くて、体勢を整える前に押し出されて、すんなり負けてしまった。練習不足。普段の力が出せなかったなって思います。パワー、押さえ込みの力も、ちょっと勝てないなって。あと柔道が強い。柔道はレベルが違いすぎました。リベンジはしたいです」と、負けを正直に認めるコメント。


チームに勝利を呼び込んだタバタは「腕十字を狙ってたので、1試合目では決められて良かった。2試合目も狙ったけど、決めさせてくれなかったので、作戦を変えて柔道で攻めたら攻略でき始めました。でも自分も疲れてきてたので、最後は相撲で決めさせてもらいました。前回は相撲ポイントですぐ終わってしまったけど、今回は前回より長く闘えて、本来のスキルを見せつけることができたんじゃないかと思います」と喜んだ。

スーパーファイト ユリア・ストリアレンコ vs 藪下めぐみ



スーパーファイトはユリアと藪下の一騎打ち。ユリアはどこの総合の大会に出しても恥ずかしくない実力者。藪下は日本の女子総合格闘技の黎明期に登場した、柔道出身の女子プロレスラー。でも前日会見の場で、「私は総合の練習らしい練習は、これまでしたことがないし、今も総合の練習は全くしていません」と正直に告白してしまう。つまりこれまで出場してきた総合の試合では、柔道時代に培った技術と、プロレスラーとして身に付けた体力だけで、乗り切ってきたことになる。

藪下は「投げられても、キレイに背中から落とされない技術は持っているし、それには自信がある」と話していたが、普通に考えれば、現代の総合格闘技の技術を習得したユリアに、藪下が勝てる見込みはない。

ユリアは「藪下選手のこれまでのキャリア、柔道の技術をリスペクトしている」と話していたが、前日会見に受けた印象では、藪下がケガをしないで闘技場を降りられるのか、不安にならざるを得なかった。逆に言えばレジェンドと言われる藪下に対し、今のユリアの実力も見せつけるべきだとも思っていた。それが正しい、勝負の世界のあり方のはずだ。

1ラウンド。10秒経過のあと、グラウンドの展開になり、早くもユリアは腕十字の体勢に入る。藪下は一度は自分の捕えられた腕を引き抜いたが、再びキャッチされ腕十字に。でも寝技30秒ブレイク。

再びグラウンドの展開になると、ユリアは下からクローズドガード、そして腕十字に行くが、これも外されてしまい、寝技30秒ブレイクに。その後、ユリアは組んで相手を倒し、バックマウントを取ると右手で相手のボディにパンチを6連打。有利に試合を進めていたが、ここで“試合終了10秒前の合図”の拍子木の音を、終了の合図と勘違いし、いったん離れてしまう。でもすぐに戻り、バックマウントから相手ボディにパンチ。

ラウンド終了時には、よく藪下が負けずにしのぎ切れたな、という印象。腕十字に再三取られていた右腕を痛めているのは、もう明らかだった。それでも2ラウンドに突入。簡単にギブアップしないだけの反骨心が、藪下にはあった。


しかも試合開始早々、藪下が見事な一本背負い…をしたかに見えたが、スパーンと音がするようには落ちなかったので、柔道ポイントにはならず。しかも投げられたユリアは、そのまま下から腕十字を決めてしまった。鮮やかな一本勝ちだった。

柔道の投げ技では、柔術を身に付けたユリアから、総合ルールに近いSEI☆ZAの闘いで、確実に勝ちを取るのは難しいのだ。超一流の柔道家が出てきたら、どうなるかはわからないが、ユリアのスパーリングを見ているU-FILEのメンバーの話だと、男でも油断していると一本取る技術がユリアにはあるという。最後のユリアのムーブも鮮やかだった。前回大会に続き、ユリアは腕十字での一本勝ちだった。


ユリアは「打撃で攻めて相手が下がったので、相撲ポイントを取れると思ったけれど、ポイントで勝つのは嫌いなので、また中央に戻して柔術で決めようと思いました。1ラウンドは時間切れだったけど、取った腕は決まってたので、自分としてはその時点で、相手の腕は壊れていたと思います。2ラウンドでもう一度、確実に決めました。前回の試合と比べたら、相手が全然違いました。それが一番の違い。(藪下選手は)打撃もよく、柔道が当然強くて、自分がミスした箇所もありました。柔道スローで投げられたことは、むしろ望む展開でした。柔術が好きなので、そこから寝技の展開ができるから」と余裕のコメント。2016年10月に柔術アブダビワールドツアー東京大会で優勝している実績は、ダテではないのだ。

またユリアは、6月16日(金)に東京・TDCホールで行われるミャンマーラウェイの次回日本大会に出場が決まった。「私は柔術より空手を早く始めていて、元々はストライカーでした。出たいと自分から主催者に頼んでいたので、恐れてはいません。2014年にはムエタイ王者とも対戦しています。問題ないですよ。MMAに興味があったので、打撃からスタイルを変えて行ったんです」と穏やかに話した。ラウェイはグローブをせずに拳にバンテージを巻いて殴り合い、蹴り合うミャンマーの伝統格闘技だが、ユリアがどんな闘いぶりを見せるのか注目される。


さて敗者の藪下は、「やっぱりルールがややこしいとか、分かりづらい部分と……私が弱いという話ですね」と話し出した。「(腕十字は)『あ! やっちゃった!』って感じですね。すごい入っちゃったんで。2回くらい取られてません? 2回目のときにガッツリ入ったので…。あと、グローブが(邪魔で腕を)抜けないんですよ。いつのもMMAのグローブの感覚でやってたら(今日のグローブは)でかいので全く抜けなくて。もう決められたときにそれに気付きました。いつもだったら抜けてますね、あれは。(通常の)オープンフィンガー(グローブ)は、(アンコの部分の大きさが)あれの半分以下なので…」

SEI☆ZAのオープンフィンガーグローブは、通常の総合格闘技の大会で使われているグローブより、拳の部分が肉厚にできているのだ。これは闘う女子選手へのダメージを考慮し、作られたものなのだが、藪下には逆にそれが災いし、取られた腕を抜くことができなかったという。

「だって練習してないんですもん! 練習してないのに勝てるわけないじゃないですか。(道着ありだと)投げやすいですね。一回か二回、投げてますよね? 道着があると投げはいけますね。打撃が下手くそなのもあるんですけど」

3カウントでのポイントについては「多分誰でも感覚を覚えれば使えると思うんですよ」。相撲ポイントについては「禅道会の子たちが、押されてポイントを取られてしまっていたじゃないですか。あれでもポイントになっちゃうので、三回押し出したら勝ちですもんね。だから、すごく特殊って言えば特殊ですけど、面白いって言えば面白いですね」


このルールだと、どの格闘技をやっている人が有利だと思いますか?と聞かれると、薮下は「柔道やってる子は有利だと思います。投げられますもん。あと、柔術とかの子たちは30秒しか無いんですけど、打撃をしのいで寝技に持ち込めば柔術ポイントが取れるし。プロレスラーの子もフォールポイントがあるなら、プロレスラーはそれが得意だと思いますし、上がってきたら面白いんじゃないかと思いますね」

打撃系の選手については、「女子でなかなかKOってないと思うんですよ。よっぽと体重差があるか、レベルが全然違うかじゃないと。女の子って絶対倒れないんですよ。意地でも立っているっていうのもあるし…」

ここでSEAdLINNNGの高橋奈七永、南月たいよう、Sareeeが通りかかった。

奈七永「戦う魂が良かったです。見せてもらいました。プロレスラーは元気だ!」
南月「奈七永さん、次、組んで一緒に…」
薮下「奈七永さんの監修で3人集めていいんだったら集めますよ」
南月「SEI☆ZA軍でいいんですか? 奈七永さん」
奈七永「SEI☆ZAに対抗するプロレスラー軍…?」
薮下「私が三人集めてくるので」
奈七永「あっ、勝手に新しい展開が生まれてしまっている!(笑)。とりあえず6月にまたラウェイに出るので、セコンドに来て下さい」

奈七永チームと藪下チームで争うのか、それとも藪下&奈七永の女子プロレスラー連合軍がSEI☆ZAチームと闘おうというのか。色んなプランが出たところで奈七永が、「プロレスラーというのは、いつなんどきも闘う。それがプロレスラーなので、こうやって言われてしまった! 言われてしまったけども! やるって言ったらやる! そう! 汗かいてきたよ! プロレスラーの魂を見せていこう! 45歳! 38歳! 元気があればなんでも出来る! オーーッ!」と、SEI☆ZAへの再登場を約束してしまった。

藪下の右ヒジには大きく包帯が巻かれており、じん帯をかなり痛めたもよう。それでも痛がる素振りは見せず、コメントは笑顔で締めくくった。

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