【1.19 旗揚げ戦レポート】チームSEI☆ZAが3勝2敗でギリシャ軍に勝利! 次回大会は5月11日に開催決定!

2017.01.21


1月19日、いよいよ未知の格闘技、どんな試合になるかわからない未知の武道? SEI☆ZAが後楽園ホールでスタートした。

日本武道協議会によると、「武道は、武士道の伝統に由来する我が国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化」とある。

空手や柔道はともかく、MMAの技術は必ずしもわが国で体系化された武技ではないので、SEI☆ZAはいわゆる「武道」といえるかはわからない。でも、これまで誰かが言ってきたことだけを後生大事にしていたら、進歩進化はないとも思う。だから“武道”という言葉にとらわれず、“新武道”としてもいいだろう。

「“武道”の時代じゃない。来るのは“女の新武道”の時代だ!」。
それぐらいの気構えで、精進してほしいものだ。


当初SEI☆ZAは、巌流島の闘技場を借りて大会を開催するつもりだったのに、後楽園ホールのある青いビルの作業用エレベーターに、大きな巌流島の闘技場をバラしても入りきらないとわかったのが、昨年末。

巌流島の闘技場より中の円の直径が1メートルほど小さいものをSEI☆ZA用に作ったそうだが、急ごしらえのものとは思えないほど、立派な舞台がホール中央に設置されていた。


素足で舞台に上がってみたが、円の中は巌流島同様、踏ん張りがきくマットというよりは、滑りやすいマットだった。これは場外に押し出すとポイントになるスモーポイントがある以上、いたしかたのないことなのか。実際、相撲の土俵は、固いが滑りやすくなっている。

ボクシングでは滑り止めとして、靴の底に松ヤニの粉をこすりつけ、スリップ防止として使っているが、蹴り技があるルールだと相手の目に松ヤニが入ってしまうことが考えられるので、使えないと考えるのが普通だろう。

慣れれば滑りには対応できるという人もいたが、とにかく今大会では、このマットで闘わざるを得ない。

■先鋒戦
タバタ・ヒッチ (54.6kg/ブラジル) vs ソフィア・カルガ(62kg/ギリシャ)



先鋒戦はタバタ(ブラジル)とカルガ(ギリシャ)。タバタは21歳。カルガは23歳。この試合はあっさりと勝敗が決した。

パンチの打ち合い、押し合いを始めた2人は、30秒を経過したところで、まずタバタが場外へ押し出される。これでカルガにスモーポイントが1ポイント。



しかしその後は、道着をつかんだり押したりして、タバタが怒とうのスモーポイント3連続奪取。ツルツルと滑るようにカルガは場外に押し出されていった。

試合は100秒で決着。これがSEI☆ZAなのか。これが武道だというのか。観客はあ然とするのも忘れて、ポカーンとしていた気がする。主催者はさぞ、肝を冷やしたことだろう。

タバダは柔道・柔術の経験あり、カルガは柔術、空手、アマチュアキック、MMAの経験があるそうだが、それらしい技術が試合中に見られたとは、どう見てもいいがたい。

まず相撲をするには、2人とも腰が高すぎる。全然腰が落ちていない。そもそも一般的な打撃技にいくフォームと、相撲の力学に見合ったフォームが全く違うのだから、ルールで共存させようとするところに無理がある。

少なくてもこの両者の試合に関しては、スモーポイントがない方が面白い試合になったのではないか。巌流島の闘技場よりやや狭いせいもあるのか、とにかく女子がやると簡単にスモーポイントが取れてしまうというルールの欠点が、第1試合であぶり出されてしまった。

■次鋒戦
ラダ・マナンダー(49kg/ネパール)vs ヴィオレータ・カライドプル(49.6kg/ギリシャ)



次鋒戦はラダ(ネパール)とヴィオレータ(ギリシャ)。ラダは20歳。ヴィオレータは20歳。ラダは母国では伝統派空手(糸東流)をやってきただけなので、フルコンタクトの試合経験はない。ヴィオレータは欧州柔術、空手、MMA、グラップリングマッチの経験があり、得意技は袖車絞めだそうだ。「ラダより早くサブミッションを決めて見せる」と、煽りVTRの中で自信を見せた。

1R前半、ヴィオレータがグラウンドでマウントを取ったが、30秒ブレイク。後半、ヴィオレータとラダが続けてジュードーポイントを取り合った。ラダの方はキレイな投げとはいかなかったが、崩れながらも投げ切っていた。


2Rはラダが道着をつかんで押し出し、開始20秒でスモーポイントを獲得。そのあとはパンチを打ち合い、グラウンドになると上になったヴィオレータが腕十字の体勢に入って横に倒れ、絞ってギブアップ勝ちを奪った。


宣言通りのサブミッションでの勝利。ヴィオレータは寝技では確かにラダを上回る動きを見せていた。

■中堅戦
ラジーナ・ビスタ(55.4kg/ネパール) vs クリスティーナ・コウスタ(60.4kg/ギリシャ)



中堅戦。自撮りが得意なラジーナ(ネパール)と、クリスティーナ(ギリシャ)の対戦。ラジーナは18歳で、ラダと同じく伝統派空手(糸東流)を経験。クリスティーナはなんと15歳! 空手とアマチュアキックの経験があるという。

パンチ、キックで両者対峙するも、わずか試合経過8秒でラジーナの片足が外へ出てしまう。これでクリスティーナがスモーポイントを1つ獲得。


クリスティーナがフォールにいくもカウント2。再びスタンドになると、クリスティーナの圧力に押されて、ラジーナは下がる一方。両手でポーンと押されると、後方に回転するように場外に出てしまい、クリスティーナに2つ目のスモーポイントを献上した。


最後は突き押してクリスティーナが3つ目のスモーポイント獲得。55kgのラジーナが、後方回転したり、腰を高くしたままあっけなく土俵を割る姿を計3度見せられては、見に来たお客にとってはつらいものがある。

相撲の魅力はガッシリ腰を落として、ガップリ組むから面白いのだ。それにしても男子の巌流島ではなかなか押し出しが決まらないのに、女子で簡単に決まるのは、どういうわけなのか。その理由は明確には答えられないが…、そもそもふんどしをしない女性は相撲の稽古をしないものなのだろうか?

■副将戦
高橋奈七永(64.7kg/日本) vs マリアンティ・“スーパーママ”・サモウフ(60.2kg/ギリシャ)



副将戦は高橋奈七永(日本)とマリアンティ・“スーパーママ”・サモウフ(ギリシャ)。奈七永は全日本女子プロレス出身のプロレスラーで、現在はSEAdLINNNG所属の38歳。スーパーママは49歳で、レスリングとMMAを経験し、20歳と17歳の娘がいるシングルマザー。49歳といえば大晦日、RIZINでギャビ・ガルシアと対戦した元全女の堀田祐美子も49歳だった。

この試合の煽りVTRで使われていた曲が、全女のフジテレビのテーマ曲。奈七永が全女を背負って出る! そういうムードに高揚させてくれる効果が、この楽曲にはあった。

1R、殴り合いからグラウンドの攻防になり、奈七永は抵抗するものの、よつんばいの状態で前から首を取られる形に。これは30秒ブレイク。

スタンドになると奈七永はパンチから右ヒザ蹴りの連打。グラウンドになると、スーパーママが下から腕十字を狙いに行く。それを少しだが持ち上げてみせた奈七永。マットに相手を下したところで30秒ブレイクとなった。


スタンドになると再び奈七永は右ヒザ蹴り連打。グラウンドになるとスーパーママがクローズドガードで防御に入り、30秒ブレイクに。この時点で残り時間は8秒だった。

相手はグラウンドで決める技術を持っていそうだ。奈七永サイドは、それにつきあわず、スタンドで決めるつもりか。

2R、奈七永が右パンチ2発、右ローを放つと、スーパーママは組みついてきた。グラウンドになり、奈七永がバックマウントをとったところで30秒ブレイク。

そのあと、スーパーママが倒れかかる奈七永を押し出し、奈七永が転がるように場外に出たシーンがあったが、これはスタンド状態ではなかったのでスモーポイントにならなかった。

このあと奈七永は首投げでジュードーポイント、押し出しでスモーポイント、最後はハーフマウントの状態から腋を差して押さえ込み、スリーカウントを奪ってフォールポイントを獲得。3ポイント奪取して勝利をもぎ取った。


3カウントフォールで決した格闘技の試合なんて、これまであったのだろうか。公式発表は「全女固め」となったが、下の選手がブリッジしたり半身になったりして、必死に抵抗する相手を無理やり押さえ込むのが全女固めだ。スーパーママは抵抗する様子もなく3カウントを取られていた。最後はスタミナ切れもあっただろう。


奈七永はグラウンドになると亀になったり、防御に撤するシーンがあったが、結果的には相手の得意技を出させなかった奈七永の勝利と言える。打撃でスタミナを奪い、道着のつかみ合いでスタミナを奪い、自分が亀になることで相手に力を使わせてスタミナを奪った。昨年12月のミャンマー・ラウェイ挑戦に合わせて打撃を練習した成果は出せた試合だったと思う。打撃とスタミナで勝ったことが勝利につながった。

■大将戦
ユリア・ストリアレンコ(61kg/リトアニア) vs カラ・ディミトロウラ(57.1kg/ギリシャ)



大将戦はユリア(リトアニア)とカラ(ギリシャ)。ユリアは23歳。柔道、空手、MMAを経験していて、昨年10月にはアブダビグランドスラム柔術ツアー東京大会で優勝している。カラは33歳で、空手、キックボクシング、MMAを経験。

この試合の前に館内アナウンスで、急きょこの試合だけルールが変更されることが発表された。それは、1ラウンド内で3ポイント取っても勝利としないということ。試合が最終ラウンド終了までもつれた場合、終了後に合計ポイント数で勝敗が決するルールは、そのまま生きることになった。

これはスモーポイントがイージーに入り過ぎたため、主催者サイドが変更した、ルールの応急処置。これには客席から拍手も起きた。

しかし試合は、どちらも1ポイントも取ることなく、38秒で決着した。


ボクシング技術がしっかりしている2人は開始早々、ひるむことなく堂々と殴り合った。ほかの4試合とはレベルが違ったといっても過言ではない。SEI☆ZAではグラウンドでのパンチは禁止されているが、スタンドでのパンチは解禁されている。それなのに、ここまでの試合では明快なボクシングの攻防がなかった。そのフラストレーションは、大将戦で2人が殴り合った瞬間、解消されたような気がした。


そしてアッと思った瞬間、ユリアが相手の片腕に飛びついて腕十字を決める。MMAよりやや大きめのグローブをしているので、簡単には腕が抜けない。タイムはわずか38秒。このユリアの勝利はほめられていい。メインを締めた、立派な闘いだった。3度のメシより格闘技が好き、というのもうなずける。SEI☆ZAはいい選手を発掘した。ユリアの活躍にこれからも注目だ。

■次回大会は5月11日に後楽園ホールで開催!



対抗戦戦績は、3-2でSEI☆ZAチームが、謎のギリシャ美猛女軍団を制した。すでにロシア、イタリア、韓国、インド、カザフスタンからSEI☆ZAチームに挑戦状が来ているという。

次回大会は5月11日(木)後楽園ホールと発表された。SEI☆ZAチームは帰国せず、合宿組は翌日から練習を始めるそうだ。

初めてのルール、初来日の対戦相手ということで、試合はどうなるか予想がつかなかったが、スモーポイントがイージーに取れすぎたり、寝技からエスケープして場外に出たのか、転がってもつれて場外に出たのか、見ていて判断が難しいシーンもあった。

ルールをもっと練っていく必要もあるが、それに加えて選手の地力をアップさせることも重要だ。選手を発掘して育成していくのも楽しみながら見ていくのがSEI☆ZAなのだろう。いまは地下アイドルだっていい。でもいつかは表の世界に出て、でっかい星座をつかんでほしい。頑張ったことは報われてほしいからだ。


それに男性の格闘技ファンから見れば、可憐な女子がやっているというだけで、興味を引く要素は十分あるのだ。可能性は大いにあるぞ、SEI☆ZAは!

とにかくSEI☆ZAはスタートした。その第一歩を見届けられて幸せだった。CS放送等で今後、大会が放送される機会があったら、会場に来られなかった人はぜひ見て、意見を言ってほしいものだ。

(文/安西伸一)

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