SEI☆ZAは新流派となりうるか(その2)/勝田晴美

2017.08.21

テーマ『旗揚げ第三戦を終えて見えた“SEI☆ZAとは?”』


文◎宮本武蔵継承野田派二天一流東京事務局長/響尤代表 勝田晴美


誰もまだ見ぬ「日本初!」「世界初」のガールズ武道エンターテインメント! それがSEI☆ZAの目指すところです。世界のスポーツの祭典である東京五輪オリンピック・パラリンピックに向け2020年をマイルストーンとする風潮があります。この波に乗ってこの3年の間に、海外から日本にSEI☆ZAを観に来てくれるファンがたくさん来てくれますように! そういう想像や希望を持っています。

さて前回旗揚げ第二戦の時、次のような記事を寄稿させていただきました。SEI☆ZAが日本や世界において新しいジャンル(=流派)として確立するには? それには流儀が新しく興る必然性が重要で、新たな流派の誕生する過程に私たちは立合っているのでは?という課題設定でした。

第三戦では、SEI☆ZAガールズにとって今までの相手方と異質な流儀がいきなり現れ、独自の世界観が展開されました。まず相手方チームが試合前にチーム旗掲揚・国歌斉唱の演出を行ったのです。以前観たある格闘技の試合ではインド舞踊の派手な演出だったので、てっきり「ソレ」が来ると想像していたのに、君が代には面喰いました。九段下の日本武道館での全日本少年少女武道錬成大会や、綾瀬の東京武道館での都大会開会式に臨席したような気持ちになってしまい、当初のコンセプト「世界中からやってきた、さまざまなバックグラウンドを持つ武道女子」の成長を応援しよう!という気持ちがしょっぱなから私の中で揺らいでしまったのです。

国歌・国旗はスポーツにはかかせないものでしょうが、エンターテインメント行事にはあまり出てきません。その間隙を突かれたな、このTEAM DATEは流派としては高度な兵法を使う、と感心させられました。最終的に勝利を飾った時に誇り高く広げられた日本国旗。やられた! 一方SEI☆ZAガールズの勝利選手は閉会の時の記念撮影で自国の国旗をまとっていました。

ヨーロッパやロシア、アメリカでも日本の武道団体の支部に行くと、団体のロゴや日本国旗や日本人開祖の写真が掲げられており、日本語をがんばって覚えて話しかけてきたり、読む本など文化や生活、着るものも真似ようとします。SEI☆ZAの「カリキュラム」には日常、日本という国家に対しての思いを表す取り組みは少ないのかな、と思いました。


ということでお話をトーナメント戦の冒頭に戻しますと、前代未聞の13歳対決に始まり、いろいろな大会や試合を見て来た私の記憶の中でもっとも過酷・過激な試合が展開されます。ラジーナが心なしか心配げな様子で闘技場に立った時、まったく先が読めない、武道の競技というよりはかなり格闘技寄りの試合が展開されるな、と予感しました。受け身を失敗したのか足を痛めたラジーナ、ラダが必死に相撲ポイントを取りに行こうとしている姿は断片的なシーンしか覚えておらず、なぜか観ている私自身の脳に自動的なシャッターが下りたがごとく。厳しい闘いが延々と続きました。タバタは経験と能力のある選手ですので、やっとこれで攻防を楽しく応援できるかと思えば、勝ち抜き戦の相手選手はまったく手を緩めようとせずに、勝利一直線。

最初に国歌と国旗で日本人選手方に心情的に流れようとしたこともあり、終盤私の心理に次のようなおかしな逆転が起きたのです。来日以来1年以上頑張っているSEI☆ZAガールズが、打撃を浴び、場外に転落して敗れるたびに、なんだか安心してほっとするのです。それはTEAM DATEの素晴らしさに打たれ、もうそちらを応援するわ!という心理とは違います。流派としても個人の能力としてもまだまだ未完成のチームには圧倒的すぎる相手なので、つい怪我やアクシデントを先回りして心配し、観客なのに防御思考に回ってしまった。

今回、途中で休憩が挟まれませんでした。そしてとうとうアイドルのKissBee石井美音奈さんの出番に。しかも相手役が悪役プロレスラーで格闘家デビューを華々しく飾った世志琥さんということで、トレーニングマッチと言えど、過激な舞台が用意されているはず。ものすごく心配です。

しかし、なんとこちらは展開が読めなくてハラハラさせられたものの、心から応援したり攻防?を楽しんだりできたのです。


美音奈さんのKissBeeというグループは、旗揚げ第一戦の前のファンディング番組から、SEI☆ZAを応援。開会式では凛々しく可愛らしいパフォーマンスで華を添えていて、いつも見るのが楽しみです。セコンド席には世志琥さんにブン投げられている華奢な美音奈さんを見て涙ぐんでいるメンバーもいましたが、動きや間合いすべてが計算されつくされており、アクシデントや怪我など想定できようもない完成された安心感が保たれていました。馬乗りで髪の毛をわしづかみにしていましたが、本当に頭の毛で極めたり抜いたりという力でもなく、(これは途中からもしかしたらプロレスステージに入ったのかも)と脳が勝手にモードを切り替えていました。美音奈さんはいっぱいいっぱいのようでしたが、マイクを持つとしっかりとご挨拶もできてさすがだと思いました。怪我しないように頑張って、チームSEI☆ZAのメンバーとして楽しく闘技場に臨んで下さいね。デビュー戦が楽しみです。

あのトレーニングマッチは武道でいうところの約束演武、型試合なのだとしたら、その先にこそ成長があると思います。相手を見切って、弱点を連撃で突いていくのは殺し合いの技術である武術、みんなが求め、観客が求め、観衆、視聴者が観たいのはそこではありません。どんなに約束演武を練習しても、大舞台では頭が真っ白になり段取りが狂い、リアルスピードの即興の攻防になるもので、その時の引き出しをひとつでも多く複雑なつくりにするために日頃の鍛錬・稽古があります。また高段者、熟練者は公式試合においても入門初心者に対し自分も成長するため、再現性を磨けるチャンスだと思って全力は出しません。実力のない弱い相手は心で負けた時、自分から技にかけられて納得の上でその試合を終えます。だからこそ、もう一回そのマッチを観たくなる。『きっと次は違う展開になるよね?楽しみ!』と。敗れた側にも試合中に成長の機会を与えるつわものこそが、まだ見ぬ新時代の流派を打ち立て、ブームを興せるのです。

もしもこの3時間が映画だとするならば主要キャラのことごとくが倒されていく過酷な運命に、ガールズを応援する私も翻弄され通しでした。正直な感想としては、こういう立会いにはかなりの精神力が必要なので、私どもの師匠や海外から修行・観光体験に来るお客様にはまだまだお見せできないな、というものでした。よく格闘家で「気持ちが強い」との評価がありますが、武道においてはそれは必ずしも良い評価ではないことがあります。

武道においてはある一人の強者がマーケットを独占するのではなく「一村一流儀」が同時に発生し、存続し続けます。この視点で、旗揚げ第三戦において新しい流儀の生まれていく過程は見られたか?

SEI☆ZAの武器=流派の技、すなわち次の戦に備えて味方を一人でも死なせないために、短期で技を習得する方法論が共有され、新流派の誕生の兆しが見られたか? その誕生のための環境は整備されたか?

この課題は、トーナメント戦だけを見れば旗揚げ第二戦からは後退したかのようにも思えました。しかし、全体を見れば世界を創る基盤=ポータルとしてのSEI☆ZAは、命を懸けて頑張って戦った女の子たちによって、さらなる可能性を広げたことは間違いありません。

益々今後の成長が楽しみとなりました。

【7.28 SEI☆ZAレポート】タバタが奮闘するも4-3でTeam DATEが勝利!

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